━ Are You Happy ? ━

□止まないサイレン


救急隊員は私を呼び戻すと

翔の居る救急車に乗せた


一刻も早く病院に





動き出す車内で

根掘り葉掘り

私を問い質す





“お友達?”


に 対しては 頷いた


“どうしたのかな?”


から

それ以降の

怪我 についての質問には

何も答えなかった





答えたくない

わけじゃなくて


どう 答えていいかわからなくて
ずっと俯いていると


“大丈夫だからね”


と 何故か私に優しい声がかけられる





それは

ボロボロ零れる涙と


私と


翔の


血が滲んだ身体と

私の傷のせいだろう





“キミのこの「怪我」はどうしたのかな?”


矛先は

案の定、私にも向けられ

翔が癒してくれた傷口に

ビニールで覆われた

汚い指が触れる


“彼と一緒に診てもらおうか”





うるさい


サイレンが


うるさい








ストレッチャーに寝かされた翔は


応急処置を施されたのか


真っ赤に染まったガーゼを口に挟み目を閉じているけど


眉間に皺を寄せていた





うるさいよね…


世の中は





“誰かにやられたのかな?”





間近で聞くサイレンと同じくらい


うるさいよね





“高校生だよね?学校どこ?”











病院に着くと

翔はまた

私に


“かえれ” と呟いた





世の中はうるさい





そうだね





耳の奥で響くサイレンは

気がおかしくなりそうだよ





救急隊員と

主治医のやり取りを見届けた後


隙を見て私は

病院を飛び出した





サイレンはまだ


頭の中で鳴り続ける





私の携帯も


鳴り続けてる


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