━ Are You Happy ? ━

■彼の声


私に背を向け

雑踏に紛れかけた翔は


一度

こっちを振り返った








『…ンな…… ……ったら……
ぶん…… …ら…!!』








こんなに大勢の雑音の中


翔の声だけ


翔の声だけが…





私の耳に届く








───・・・…





高校生、最後の日


最後の制服に身を包んで

自宅の部屋のドアを開けた








翔が居なくなった学校は

何も変わらず

当たり前に時間が過ぎた





相変わらず

うるさい雑音は

うるさい雑音でしかなくて





その冬は

一際寒さが厳しい気がした





たた過ぎる季節の流れに

身を委ねるだけの日々





平々凡々な毎日


何も起こらない


何にも巻き込まれない


日常


そんな

最後の日





部屋のドアの前の姿見に

制服姿の私が映る





少し…

大人になったかな?


『ね?…翔』





いつかに借りたまんまの

翔のパーカーを羽織って

部屋を出た











翔が出れなかった卒業式


連れてってあげる





電車

通学路

校舎


最後の景色を


一緒に…ね


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