忠犬彼氏。


「あ、メール」

柴からだ……。
さっき別れたばっかだろうが!

《逃がしませんから》

その言葉にどんな意味が含まれているのかはわからない。
ただ単純に、放課後逃がさないって意味かもしれない。
でも、もしかしたら……。

って何少し期待してんのよ。
バカじゃないの?

すっかり犬に似てきたんじゃないの?
そんなのダメダメ。飼い主としての威厳を保たねば。

「璃子にゃん!」

「何」

「璃子にゃんはもう少し自分に素直になったほうがいいよ?」

後で後悔するぞ。
そう言われた気がした。


「でもさ、璃子、柴君に最初からあんまり拒否反応出てなかったよね」

少し変化?
と華音は首を傾げるけれど、そんな可愛いもんじゃない。

ただ、柴が“男”として意識してなかっただけ。
あまりに可愛すぎて、異性だと言う感覚が吹っ飛んでた。

そんなこと言ったらまた二人は
可愛くない
って言うのかな?

< 76 / 204 >

この作品をシェア

pagetop