百もの、語り。

48.偶然



偶然、よくすれ違う人がいるんです。


名前も知らない人なんですけど、
どんな場所に行っても、
必ず、その人とすれ違うんです。


その事に気が付いてからは、
通り過ぎる時に
よく確認するようになったので、
同一人物で、まず間違いないと思います。



それでこの間、
初めて行く所に遊びに行ったんです。

俺、町探索が好きで、
知らない場所でうろうろしてたんですよ。


そしたら、やっぱりそこでも
その人とすれ違ったんです。

偶然も、ここまで来ると凄いなって
そう思ってたんですけど。


その人の歩いてきた方向に進んだら、
建物も道も何も無くて。

つまり、行き止まりだったんですよ。







フーッ


48本目の蝋燭が消えました。


< 120 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop