チャリパイ14~最後のサムライ!
「そろそろ時間です。将軍!」
ブタフィの脇に立っていた部下の兵士の一人が、腕時計の針を見つめながらそう告げた。
処刑執行時刻を告げられたブタフィは、自ら狙撃隊に号令をかける。
「狙撃隊~~!整列!」
五人の罪人に対し、十数名の狙撃隊が所定の位置に整列し、目の前にある台に置かれた銃を手にする。
この十数丁の銃のうち、実弾が入っているのは五丁。残りの銃には空砲が入っている。
誰の銃に実弾が入っているのかは狙撃手には知らされておらず、全員で一斉に発砲した時に誰が実際に罪人を射殺したのかが判らないような考慮が施されているのである。
処刑の準備が粛々と行われる中、チャリパイとロースの方は先程の笑い声に続き、今度は五人揃って大声で歌を歌っていた。
五人が歌っていたのは、日本の楽曲にあって世界で最も有名になった故・坂本 九の名曲『上を向いて歩こう』であった。
この楽曲がブタリア王国で発売された時のタイトルは『SUKIYAKI 』
イベリコと最初に出逢った時にみんなで食べたスキヤキにちなんで選んだ、チャリパイからイベリコへと贈る楽曲であった。
「チャリパイの皆さん………」
もうすでに涙で霞んで、イベリコにチャリパイの姿ははっきりと見る事が出来なかったが、死をも恐れぬその清々しいまでの振る舞いは、まさに『サムライ』と呼ぶに相応しい勇姿であった。
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