チャリパイ14~最後のサムライ!
「ちょっと、ね♪って何だよっ!
見ろっ、こぶが出来ちまったじゃね~か!」
「悪かったわよ……またブタフィが来たと思ったのよ……」
いきなり撲られて腹を立てるシチローの気持ちも解らないではないが、今は子豚と揉めている場合では無い。
ドアの外で見張りをしている兵が、今の騒ぎを不審に思い外から声を掛けて来た。
「トンソーク侍従長!何やら中が騒がしいが、何かあったのかね?」
「いや、何でもありませぬ!……姫と今夜のメニューの相談をしていただけです!」
兵士からの呼び掛けに、慌ててその場を取り繕うトンソーク。
「とにかく、早くここを出よう!
コブちゃん、ちょっと窮屈だけどこの中に隠れていて!」
『この中』とは、宮殿の使用人達がベッドのシーツ等を交換して廻る際、回収したシーツを運ぶのに使う手押し式のワゴンである。
このワゴンの中に子豚を隠し、見張り兵の前を悠々と通り抜ける。
そして、エレベーターで一階まで降りそのまま侍従長室へと入ってしまえば、あとは窓からでも外へと出られる。
外の見張りは既に縛り上げているので、チャリパイとイベリコは楽々とアジトであるブタマーンの家まで戻れるという手筈であった。
…………………………のだが………
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