チャリパイ14~最後のサムライ!



「ゼェ…ゼェ……ここまで来ればこっちのもんよ………シチロー……早く車こっちに回して来て………」


まるでフルマラソンでも走った後かのようにフラフラの子豚が、息を切らせながらシチローに命ずるが……


「車なんて無いよコブちゃん。
オイラ達、ここまでバスで来たんだ」


「なんですってええぇぇ~~っ!」


問題というのは、まさにその事であった。


シチロー達には、ここから先の逃走に使う"足"が無いのだ。


兵士達はまだ追跡を諦めた訳では無い。軍の特装車やジープに乗って追いかけて来るに決まっている。


「なんで車で来なかったのよ!シチロー!」


「仕方がないだろ!この国じゃあ、車を持ってるのは軍とよほどの金持ちだけなんだから!」


シチローの言った事は本当の事であった。まだ発展途上のブタリア王国では、自家用車はまだまだ高嶺の花で、一部の富豪しか所有する事は出来なかったのだ。


「で、これからどうするの?シチロー!」


こんな所で言い争いをしても始まらない。てぃーだがシチローに次の手立てを尋ねるが、シチローにもこれと言ったアイデアがある訳では無かった。


「どうするって言ったってなぁ……」


「早くしないと見張りが追いかけて来るよシチロー!」


ひろきがシチローを急かすが、何も手立ては無い。チャリパイ絶体絶命のピンチ!



半ば諦めかけたその時。




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