【短編】2度目の初恋
だが、これだけは言える。


私は彼を好きだった。


正確には、好きになった。



本人から『すき』と言われたわけではないが『すき』かもしれないと知り、多少なりとも意識しない人はいないだろう。
理由はどうあれ、私は彼を『すき』になった。


だが、あの日以来の小3の記憶がまったくと言っていいほど、ない。
せっかくの初恋なのに思い出は綺麗さっぱり流されている。



何か変なことはしていなかったかな…



そこだけは今も気になっていた。


まぁ考えても仕方がないのだが、初恋はやっぱり覚えていたいもの。

そんなことを考えながら時間を潰し、「一緒に会場まで行こう」と言ってくれた友人との待ち合わせに向かうべく家を出た。


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