NIGHT MOON
その夜。店の営業が終わると
夜月は急いで控え室の方に寄ってから
シャワーを浴びに行った。



再び着替えるため、控え室に戻ると
珍しく晴海がいたのだ。
すると夜月はわざとらしく
晴海に声を掛ける。



「よぉ…ナンバーワン」



「夜月…」



ロッカーのドアを開けながら
夜月は開店前に
神田川に聞いた話をしてみた。



「お前の姉ってさ、海外で死んだんだってな」



「ど、どうしてその事…」



「ある人に聞いたんだよ」



「海斗か?」



「いいや、オーナー」



「オーナーが…」



「ああ御親切に教えてくれたというかオーナー自身が勝手に」



「なぜ?」



「そんな事知るか」



言いながら夜月は
晴海の側に近付いて行く。



そして、夜月は晴海のロッカーを見て
中に入っていた物を
勝手に取って見た。



「何だこの女?」



「何をするんだ!人の写真を」



「写真なんて持ち歩いてるのか」



夜月はヒラヒラ写真を揺らし
呆れた顔で言う。
すると晴海は激怒した。



「返せ!あかねの写真を返せっ」



「返すよ。たかが写真くらいで、デカイ声出すな」



「うるさいっお前に俺の気持ちが分かってたまるか」



「何だ、姉の事でそこまでムキになるなんて馬鹿らしい」



「馬鹿だと…」



「はぁ…死んだ奴の思い出はキレイなまま封印されて一生人の心に居座るって話本当みたいだな」



怒り狂った感じになり、晴海は夜月の事を殴ろうとした途端
控え室のドアが開き、何人のホストが入って来た。
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