ヒロイン 完
「おいで」



泉さんのお家でお泊まりは今日で二回目。


だけど以前よりも心臓が煩いほど鼓動している。



「奈緒ちゃん」


「……」


「怖くない」


「……」


「俺を信じてとは言わない。だけど俺を必要として都合の良いように使っていいから……」


「……ッ」


「だから、俺の傍にいて」


「奈緒さん……ッ」



両手で顔を覆い隠した。


瞬間、腰を引き寄せられベッドの上に引きずり込まれる。


腰に腕を回されたまま、きつく抱きしめられた。



「誰にも見せなくていい」


「……」


「俺にだけ見せて」



泉さん。


泉さん。


私はもう、あなたに溺れてしまった。


頬を伝う滴に誓います。


私は……。

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