ヒロイン 完
女子生徒達に囲まれている人物は紛れもなく泉さん、その人だった。



「嘘…」


「お前知らなかったのか?」



そんなことを言った恭二の言葉なんか耳に入ってこない。


それ以上に今、混乱している。


何で。


何で?


私が言ってたの正解だったんじゃん。


予想通り女子に囲まれちゃってるし。


あれ。


やばい。


きた、きた、きた。


ナニ、ベタベタサワッテンノ?


サワルナ。


サワルナ。



「あれー?愁ちゃんピアスしてるー」


「あ、本当だー」


「見せて、見せてぇ」



一人の女が手を伸ばした瞬間、彼と視線が交あった。


時間が止まる。


まるで二人だけしかいないかのように静まり返り、世界と遮断された。



「泉さん」



小さく呟いくとハッとしたように我に返った彼が目を見開いた。


そして女の手がピアスに触れた時、私は叫んでいた。
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