ヒロイン 完
気付いたら、あの子を守るようにギャル子の前に立っていた。


私の人生、終わったな。



「誰あんた」



どうやらギャル子は先輩だったらしい。



「通りすがりの者です」



私は微笑んだ。


引きつってたかもだけど。



「何の用だよ。邪魔すんなら、あんたもただじゃおかないよ」



私はゴクリと唾を飲み込んだ。


目を瞑り深呼吸し、声を出した。



「せ、先輩」



ださっ、声震えてる。



「あの……さっき、と…蓮さんが、この子のこと探してて……先輩バレたらまずいんじゃ。この子なんかのために先輩達がヤバイ立場になる必要はない…です、よ……」



先輩達は、すぐさま顔色を変えて私にお礼なんか言っちゃって逃げて行った。



「……」



私は息を吐き出した。


あー、呼吸できるって幸せ。


背後を見れば、あの子はしゃがみ込んで肩を震わせていた。


顔を覗き込みながら声をかける。



「千夏ちゃん?大丈夫?」


「……ッ、蓮…」



あー、私はお呼びじゃないってわけね。


そりゃそうかー。


あー、うざい。


うざい。


うざい。


うざい。


うざい。


気が付いたら、あの子の胸倉を掴んでいた。
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