ヒロイン 完
私の横で車が止まった。
誰かが下りて足音が近付いてくる気配がする。
「奈緒ちゃん?」
夢かと思った。
たった一度しか話したことないけど、この声を間違えるはずがない。
逢いたかった。
本当に逢いたかったんだ。
顔を挙げると、そこには私の大好きな笑顔があった。
あー、本当にこの笑顔は最強だ。
黒髪おにーさんの顔は見る見る変わっていき眉間に皺を寄せた。
「どうしたの、その顔?」
最初は何を言われたのか分からなかった。
「取り合えず冷やさないと」
腕を引いて立ち上がらせられる。
おにーさんの手から暖かい温もり伝わってきて余計に何かが込み上げてくる。
「車、乗って」
手を離すのは少し残念だったけど小さく頷き手を離した。
私は後部座席に乗り込んだ。
冷静になってから考えてみれば驚く。
知らない人の車に乗るなんて、しかも男の……。
普段の私からしたら絶対に有り得ない行動だった。
でも、それだけ私は弱っていて。
誰でも良いから傍にいて欲しかったんだ。
もう、独りは疲れたよ。
誰かが下りて足音が近付いてくる気配がする。
「奈緒ちゃん?」
夢かと思った。
たった一度しか話したことないけど、この声を間違えるはずがない。
逢いたかった。
本当に逢いたかったんだ。
顔を挙げると、そこには私の大好きな笑顔があった。
あー、本当にこの笑顔は最強だ。
黒髪おにーさんの顔は見る見る変わっていき眉間に皺を寄せた。
「どうしたの、その顔?」
最初は何を言われたのか分からなかった。
「取り合えず冷やさないと」
腕を引いて立ち上がらせられる。
おにーさんの手から暖かい温もり伝わってきて余計に何かが込み上げてくる。
「車、乗って」
手を離すのは少し残念だったけど小さく頷き手を離した。
私は後部座席に乗り込んだ。
冷静になってから考えてみれば驚く。
知らない人の車に乗るなんて、しかも男の……。
普段の私からしたら絶対に有り得ない行動だった。
でも、それだけ私は弱っていて。
誰でも良いから傍にいて欲しかったんだ。
もう、独りは疲れたよ。