ヒロイン 完
「神山!」


「あ、颯太くん。どうした?」



慌てたように駆け寄って来た颯太くん。



「どうしたじゃねーよ!千夏さんも!香宮も!」


『へ?』



いきなり怒鳴られ私達。


いったい何をしてしまったんだ?



「そんな格好で歩き回ったら危ないだろ!」


『…』



私達はお互いの顔を見合わせ、そして吹き出した。



「ププッ、颯太くんありがと……ッ」



お腹を抱えて笑い続ける私達に颯太くんは耳を真っ赤にした。



「い、行くぞ!」


「あ、ちょっと待って」



私は掴まれた手を振りほどき、女の子が群がる中へ入っていった。


う、香水きつっ。


鼻がもげるー。


息がー。


てか、邪魔!



「恭二!」



隙間から見えた彼の名を叫んだ。



「奈緒!?」



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