桜の花びら舞う頃に
その後、悠希はPTA総会と学級懇談会に参加した。


PTAとは、Parent-Teacher Associationの頭文字を取ったもので、日本語では父母教
師会という。

戦後、アメリカから日本に導入されたシステムだ。


今回のPTA総会では、職員紹介、PTA資金の遣い道と前年度の会計報告、今後の方針や、子供たちの安全のための活動報告などが行われた。


その後の学級懇談会では、学校での子供たちの様子や、今後の指導内容を伝えられた。


また、保護者たちは子供たちの家での様子や、困ったこと、不安に思っていること、気になることなどを発言した。


両方合わせて、2時間弱の会合。

内容の濃い話し合いに、参加していた保護者たちは皆、満足げな顔をしていた。







会が終わり、1人また1人と保護者たちは教室を去っていく。


「さて、た~を迎えに行くか」


悠希も教室を出ようとした





その時━━━





「月島さん!」




不意に名前を呼ばれ、驚きながらも振り返る。

その声の主は、さくらだった。


「少し……お話があるので、残ってもらえますか」


さくらは、悠希を真っ直ぐに見つめてくる。

その真剣な表情に、悠希は無言でうなずいた。








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