桜の花びら舞う頃に
第23話『ゆずれない願い』
黄昏時の教室。



夕陽に照らされ、さくらは1人たたずんでいた。




「悠希くん……」




フレアで流した悠希の涙が、心の中によみがえる。


さくらはうつむき、下唇を強く噛み締めた。




「それが正しい選択なの……?」




さくらは自分自身に問いかけた。




『拓海の為に、由梨のことは忘れて……』




「違う!」




さくらは叫んでいた。




「悠希くん!」




開け放たれたままの扉から、さくらは廊下へと飛び出した。

廊下には、すでに悠希の姿はない。

さくらは、悠希が向かった図書室へと走り出した。




(悠希くん……!)




走る間にも、悠希の言葉や表情が浮かび上がる。


由梨のことを話す悠希の姿が。


小首を傾げ、悲しみをこらえて微笑むその姿が。







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