桜の花びら舞う頃に
はぁはぁ……と息を切らしながら走るさくら。


その視線の先に、図書室の扉が見えてきた。


この扉の向こうに、悠希と拓海がいるはずだ。




「悠希くん!」




さくらは扉を開け放つ。





しかし━━━





そこには誰もいなかった。




「遅かった……」




さくらはつぶやきながら、ふらふらとした足取りで室内に入る。


たくさんの本が平然と並ぶ図書室。


その薄暗い図書室の中で、さくらは再び下唇を噛み締めた。








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