桜の花びら舞う頃に
第29話『素直な気持ち』
「悠希、見っけー!」



薄れゆく意識を、必死に食い止める悠希とさくら。

2人のそんな様子を気にすることもなく、彼女は笑顔で走り寄って来た。



「悠希、やっと見つけたぁ!」



エリカは、悠希の上着の裾を引っ張る。


「な……何でここに?」

「ん~? 偶然よ偶然! ……ねぇ、これって運命感じない?」


そう言って、大げさに腕を広げる。


「……さっき、『やっと見つけた!』って言ってたくせに……」


さくらは、車を避けた時に落としたハンドバッグを拾い上げながらつぶやく。

そんなさくらを一瞥(いちべつ)すると、嫌みな笑みを浮かべ、エリカは鼻を鳴らした。


「あら、いたの? 色々と小さくて見えなかったわ」



(色々と!?)



エリカの言葉に、さくらの顔色が変わる。



「この……!」


「いい加減にしなよ、エリカちゃん!」



口を開きかけたさくらを制し、悠希はエリカをたしなめた。


「いったい何しに来たの? さくらちゃんと喧嘩するために来たんじゃないんでしょ?」

「何しにって……」


エリカは、悠希の正面に回り込んだ。

真っ直ぐに悠希を見つめてくる。



(な……何だ!?)



悠希の頬を冷や汗が伝う。






< 186 / 550 >

この作品をシェア

pagetop