桜の花びら舞う頃に
「何って……」



エリカは微笑んだ。



「悠希に逢いに来たに決まってんじゃん!」


「えええっ!?」



エリカの意外な言葉に、2人は驚きを隠せない。

悠希は驚きのあまり、おぶっていた拓海を落としそうになった。


「だ……だって、あなたは玲司くんのことが好きなんでしょ?」

「……玲司ぃ?」


その言葉を、エリカは鼻で笑い飛ばした。


「あんな冷たい人はいいの」


そしてエリカは、一歩後ろに下がると空を見上げる。



「アタシは、悠希の優しさに触れたんだー!」



夜空の星に届け! と言わんばかりのエリカだった。



「優しさって……」

「警察署で、玲司を止めたことかな……?」



小声で相談する悠希とさくら。



「それに!」



エリカは視線を戻す。

その瞳は、キラキラと輝いている。


「それに……あんなこと言われたら……ねぇ」


言いながら、エリカは頬を赤らめる。


「あんな……こと……?」

「俺……何か言ったっけ……?」


恐る恐るエリカにたずねる。


「言ったじゃーん! 覚えてないのー?」


エリカは、大袈裟に驚いた。

しかし、その表情はすぐに微笑みへと変わる。



「あんなこと……サラッと言えるのが、悠希の凄いとこなのよね……」


「な、な、な、何を言ったの、悠希くん!?」


「わからないー!! 全然わからないーっ!!」



頭をかかえる悠希。



「俺は、何を言ったんだーっ!?」






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