桜の花びら舞う頃に
「ゆ……悠希くん、大丈夫?」



その様子に、慌ててさくらが駆け寄ってくる。


「だひじょうぶ……」


口は動くが、喉からはヒューヒューという音が出て声が出ない。


「さくらちゃ……」

「な、何? 悠希くん」


その声を聞き漏らすまいと、必死になるさくら。

身を乗り出し、耳を悠希の口に近付けた。



「すごく……」

「う、うん」



悠希は、言葉を続ける。





それは、やはりかすれた声だったが……





さくらの耳に、はっきりと届いていた。



「顔と顔が……近いね……」

「え……」



さくらは、思わず悠希に顔を向ける。






気が付けば……



2人の顔と顔……





そして……





その唇と唇は……



わずか数センチの距離にあった……












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