桜の花びら舞う頃に
ピンポーン!






突如として鳴り響く呼び鈴の音に、2人の身体はビクッと震えた。



「悠希くん……?」

「いい……気にしないで」



それでも、握った手は放さない。

再び、瞳を閉じる。






しかし━━━






ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン!






再び鳴り響く呼び鈴。

しかも、今度は連打である。



「あの……呼んでますよ?」

「う~……」



困ったような表情を浮かべるさくら。

うなる悠希。



「いったい、誰が……」





「あれ~っ? 玄関、開いてるじゃ~ん」





悠希が来客者を気にかけた瞬間、玄関の扉が開く音が聞こえた。


悠希は、さくらを見る。



「あ……あたし、入った時に鍵かけてない……」



さくらは、首をすくめた。





「じゃあ、やっぱり、中にいるのかしら?」





別の声が響く。

どうやら、来客者は2人のようだ。





「開いてるなら、入っちゃえー!」





「「えっ……!?」」


玄関から響く声に、2人は顔を見合わせた。





「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」





あわてて、来客者の片方がそれを制止する。

しかし、その呼び止めの声は無視されたようだ。





「おじゃましまーす!」





そう言うなり、不法に侵入してきた。

制止を呼びかけた、もう1人も、





「ちょっと、待ちなさいってば! ……おじゃまします」





結局は、先に入った者を追いかけて上がり込んできた。





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