桜の花びら舞う頃に
「悠希くん……た~君は?」

『た~は、プレゼントのDVDを夢中になって見てる』


そう言って、悠希は笑う。


「あははっ、そっか~」


さくらも、つられて笑った。



風が、さくらをすり抜けていく。



「ところで、悠希くん……」



さくらは、不意に口調を強めた。


「もう少し、エリカを何とかしてよー」


そう言って、さくらは眉間にシワを寄せる。


『う……それは……ゴメン……』


途端に、しどろもどろになる悠希。


『何とかしようと思うんだけど……』

「……だけど?」

『どうも、エリカは苦手で……』


申し訳なさそうに言う悠希に、さくらはその表情を緩めた。



「実は……あたしも苦手なの」


『あ、やっぱり?』



笑い合う2人。





離れていても、心はつながっている━━━





さくらは、そんな想いでいっぱいになった。







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