桜の花びら舞う頃に
第50話『君のためにできること』
走る━━━


悠希は走る━━━


見知らぬ土地を


さくらの姿を求めて、走り続けていた。







しかし……







「うあっ……しまった!」







悠希は、不意にその足を止めた。

前かがみになり、膝に手を当て、はぁはぁと肩で息をする。



「俺……」



乱れた息づかいのまま、顔を上げた。



「見合いの場所……知らなかった……」



一陣の風が、悠希の身体を吹き抜けていく。





目の前に広がる街並みは、初めて訪れた場所だ。

全く土地勘のない悠希が、見合いの会場に辿り着くことは不可能に近いだろう。


「どうすればいいんだ……」


不意に絶望感が心を襲う。

思わず、深いため息が漏れた。








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