桜の花びら舞う頃に
「……んしょ!」


背伸びをして、さくらは戸棚を開く。

中には、様々なものがしまわれていた。

飛び上がり、中をのぞくさくら。


「あ、あれかな?」


隅の方に、塩の袋みたいなものが見えた。



「ん~~~!」



さくらは、更に伸び上がって塩袋に手を伸ばす。


「ねぇ……パパ、呼んでこようか?」


見かねた拓海が声をかける。

しかし、さくらは首を左右に振った。


「悠希くんには、ゆっくりしててもらわないと!」


そう言いながら、さくらは伸び上がる。


「ん~~~! ん~~~!!」


しかし、もう少しというところで手が届かない。


「困ったなぁ……」


さくらは、はぁはぁと息を切らせてつぶやいた。



「あの~……」



そのとき、拓海が申し訳なさそうに声をかける。



「イス……使う?」



拓海が指差した先、冷蔵庫の隣りには、小さな丸椅子が置いてあった。


「も……もうっ、早く言ってよ」


さくらは苦笑いを浮かべ、丸椅子を戸棚の下に置く。

そして、それに乗って塩袋を手に取った。

今までの苦労は何だったのだろう? と思うくらい、塩袋はあっさり取ることができた。



「……あれ?」



塩袋の先、戸棚の奥の方に、何かが見える。

さくらは、手前にあった鍋や皿をどかし、それを手に取った。



「あ……これ……」











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