桜の花びら舞う頃に
第13話『涙色』
「玲司のバ~カ!」




ヒステリックな捨てゼリフを残して、エリカは去っていった。



3人だけになったテーブルは、急に静かになった気がする。

麻紀は、グラスの底に沈んだままだった携帯電話を拾い上げた。

電源ボタンを押したり、電池パックを外したりと色々試してみる。



「あ~、ダメ……電源入らないよ」



恐る恐る顔を上げた。

玲司は、うつむいたまま微動だにしない。

麻紀は、さくらに目配せをする。

さくらは大きくうなずいた。


「で……でも、凄いよ!」

「う、うん、なかなか出来ることじゃない!」


口々に玲司を誉め、玲司の気持ちを持ち上げようとする作戦だ。


「見直したよ、三上 玲司!」

「カッコ良かったよ、三上 玲司っ!」


2人の言葉に、玲司はうつむいたまま口を開く。



「……ランクが上がったから……フルネームなのか……?」


「うん!」



2人は声は、店内に響き渡っていた。








< 73 / 550 >

この作品をシェア

pagetop