Lonely girL / プラトニック・キス

渋谷

「え?渋谷?無理無理!

だって、若すぎるじゃん。
絶対無理なんだけど!

う~~ん。
じゃあ、銀座。

うん。わかった~~。後でね♪」

パタン…真由の姉真美が携帯を閉じた。

「ん?真由?なに?」

「あ、マスカラ貸してくんない?」

「そこのポーチにあるでしょ。」

がさがさと指差されたポーチを探りながら真由は聞いた。

「ねえ、お姉ちゃん。

渋谷って嫌い?前はよく行ってたじゃん。」

「あ~ね。
もうね、ハタチにもなると、渋谷の若いノリにはなかなかついてけないんだよ。

てか、服装とかも変わってくるし。」
雑誌をぺらぺらとめくりながら真美は言った。

「そういうもんか~。」

「別に嫌いってわけじゃないけど、パルコとかは好きだしね。」

「ふーん。
マスカラ。借りてくね。」

「真由~~、デート?」
にやつきながら真美が言った。

真由は人差し指を立てて口にあてるしぐさをして、
「ママとパパには内緒にしてね。」
と小声で言い真美の部屋を出た。
< 58 / 81 >

この作品をシェア

pagetop