夢と恋と王子様
古ぼけた図書室の中に
広がる世界は
レトロで落ち着いていて
王子様とは釣り合わない
だけど嫌じゃない空間だった。
「先輩、どうして
こんな所に……?」
本当に誰も
この校舎へ足を踏み入れない。
幽霊がでるんじゃないかとか
怖い妄想をしたりもした。
「うるさい所が苦手で」
6脚の椅子が囲む
広いテーブルに
向かい合う形で座った。
王子様のキラキラとした笑顔で
一言そう言われた私は
ただただ見とれてしまった。
「ここは使われていない校舎で
もうすぐ取り壊されるんだ。
俺が入学してすぐ見つけた
唯一安心できる場所だったけど…」
眉を下げて寂しそうに言った。
そう、王子様だから
やっぱり女子が群がる。
これだけかっこよければ
誰だって見物したいものだ。