夢と恋と王子様



やっぱり誰にも

私だけが知っている
この図書室にいる先輩の笑顔を
見せたくないな、なんて

変な独占欲がわいてきて



そんな自分が嫌に感じた。



新1年生が
私みたいにこの場所に迷い込んで
先輩に出会ったら、

また先輩を好きになる子が
増えるんだろうな




そんな不安と悲しみみたいな奴が
胸の奥をわしづかむようにした。



「先輩は、あたしがしょっちゅう
 ここに来て迷惑じゃないんですか?」



ふと質問してみると
少し驚いた表情で言った。



「いまさらじゃない?
 なにげに1年もいるのに。

 迷惑なんて思った事
 1度もあるわけないよ」



その言葉と笑顔が
たまらなく嬉しくて


口元が緩んでしまう。


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