青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「だいったいタコ沢のせいでっ、マジもう制服が気持ち悪いィイイ! 走りにくかったしさ!」


ここで元気を取り戻したキヨタが早速タコ沢にイチャモンを付け始めた。

お前、やっと落ち着いてきたっつーのにそれかよ!


「俺は谷沢だぁあ! てか、チビ助、貴様は俺に感謝するべきだろうが! 俺様の咄嗟の機転が命を救ったんだぞごらぁあ!」

「俺っちの命を救ったのはケイさんだぁあ! お、おぉお俺っち、マジで水は不得意っ」


「それをなんっつーか教えてやる。カナヅチって言うんだよ。カナヅチビ助」

「な、なんだとっ、俺っちとヤんのかぁあ! 俺っちは水が不得意なだけなんだぁああ!」
 

べしべしとタコ沢を空のペットボトルで叩くキヨタに、「ヤってやろうじゃねえか」タコ沢が空のペットボトルで応対。

似非チャンバラを始める二人に俺は重々しく溜息をついた。

お前等は小学生かよ、ほんと元気ねぇ。

見習いたいくらいだぞ、その回復力の速さ。


俺はまだへとへとだっつーのに。


「て、テメェ等なにしてるんだよ。やめろって」


小学生染みた仲間割れを始めるもんだから、早々とヨウが止めに入った。

よってチャンバラごっこは終わるものの「タコ沢のターコ!」「カナヅチビ助のカナヅチ」お互いに視線で火花を散らし、フンッとそっぽを向いてしまう。

んでもって、「ケイさんっ!」兄貴は俺っちの味方ですよねっ、とキヨタが泣きついてきた。


はいはい、お前の味方になってやるから縋ってくるなよ。

俺もお前もびしょ濡れ男なんだから、気持ちが悪いだろ。


光景も目に毒だろうし。
 

取り敢えず俺達が無事だと察したヨウは、何があったのだと俺達に問う。



そしたら、
 


「タコ沢が川に落としてきたんっス! 俺っち、こいつに殺されかけました!」
 
「状況を回避するために川で泳いだだけだゴラァア! おかげで携帯が死んだっつーの!」


 
はい、同着返答。

よってヨウがもっと混乱したのは言うまででもない。

可哀想に、事情も知らず支離滅裂な説明じゃ混乱するのも無理はないよな。
 

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