青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


有無言わせず、ココロは俺から離れて隣室へと向かう。

向こうからはまだタコ沢とキヨタの喚き声やら怒号やらなんやら、本気で喧嘩し始めてるんじゃないよな。あいつ等。


それにしてもンマー、ほんっとココロさんは舎弟の彼女として頑張ってくれていますね。よく意見もするようにもなったし…、自分に自信がつくって良いことだと思うよ。うん。
 

ただちょっと残された俺は居た堪れないぞ。
 

気恥ずかしいというかなんというか、ええい、皆、そんな意地の悪い眼で俺を見るな!

見せ付けた気分になるだろ!


べつにそんなつもりはちょっちもないんだからな!


ああっ、蓮さんまでそんな意地の悪い目で俺を見なくてもっ…、うわぁああ!
蓮さんだけは俺の味方だと思っていたのに!


でも俺ってば超幸せ者とか思っている残念彼氏だよ、残念田山でごめーん!


「あーあ。相変わらずテメェ等、クソ甘いぜ」
 

ヨウの茶化しに咳払い。

空気を誤魔化した俺は、ハジメにジャージを貸してもらうことにする。
着替えないとココロに叱られちまうしな。

ココロに強く言われると、何も返せなくなるんだよ俺。


俺がイソイソと四隅で着替えている間(脱ぎにくいのなんのって)、話は戻ってこれからのことについて検討される。

楠本の目論見なのか、俺達は下手に動くことも、仲間内に事情を明かすことも出来ない状況に追い込まれてしまった。

動けば動くほど情報が敵側に漏えいされて自分達の首を絞めかねない。


慎重に尚且つ迅速に事を対処していきたいけれど、真っ向勝負が得意な直球型チームの荒川・浅倉チームにとってこの行動は不得意なこと極まりない。
 
「いまりこんちゃうなこつは思いたくなかばってん。犯人だっち思われる可能性っちしてから考えられるんな、“エリア戦争”以降に入った仲間ばい。
(あまりこのようなことは思いたくないけれど。犯人じゃないかと思う可能性として考えられるのは、“エリア戦争”以降に入った仲間だろうな)」

「ま、そう考えるのが妥当かもしれないよな。楠本は“エリア戦争”直後、廃人だったって聞いていたし」


副リーダーの涼さんが方言で喋っているというのに、桔平さんは当たり前のように言葉を返していた。
チームメートパワーってところだろう。

俺的には「同じジャパニーズですよね?」とツッコミたいところだけど。
 
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