青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「なあ…ヨウ」
「ん?」
肩を並べて佇むリーダーに話を切り出す。
自分は今の生活のままがいいのだ、と。
親戚を巡ってはいるけれど、通う高校は変えないつもりだし、なるべく自分の住んでいる地域から出るつもりはない。
この生活が気に入っているから。
家族のことは置いといて、この生活がとても気に入っている。
「だから…、こんなことになっても、自分…が可哀想だとは思ってない。現状に…、腹は立つが…。お前等とは馬鹿騒ぎ…しておきたい、し」
「楽しい…んだ」笑うシズに、「そうか」ヨウは俺もだと同調、躊躇いがちに頬を崩していた。
「シズ。今、辛いか?」
「…いや辛くない。…もう…、親のことで辛いと思う…のを、忘れてしまった…。
だから辛くない。お前等もいるし…、どうにかなると思う」
「……、ああ、そうだな。俺もテメェいねぇとツマンネェや」
テメェってゼンッゼン喋るタイプじゃないけど、いねぇとツマンネェ。
ヨウの言葉一つひとつに救われる自分がいる。
誰かに必要とされている、その事実が純粋に嬉しかった。
「ああいうオトナには」なりたくねぇよな、ヨウは遠ざかって行く愛人達の背を見つめて意味深に吐息。
シズは頷く。
自分の親のようにだけはなりたくないとも口ずさむ。
軽はずみだけで生きる人間だけには絶対になりたくない。
どんな末路が待っているか、嫌でも分かっているから。
じゃあ自分はどんなオトナになりたいのだろうか…、オトナになんてなりたくない、なんて片隅で思う。
オトナになったら今のように、皆で馬鹿騒ぎする機会も減るかもしれない。それはとてもとても寂しいものだ。
そう思うと、やっぱり少しだけ辛いかもしれない。親以外のことで辛味を覚える。
「ヨウ…、夢…あるか?」
「いきなり青春くせぇ話になったな。んー…俺を見下している親父を殴り飛ばして、逆に見下し返してやること。あ、これは目標か?
とにかくあいつよりもぜぇってぇ笑って生きるって決めてるんだ。シケたオトナにはならない」