青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「俺が泊まりに行くと、なにかと野菜がハートや星型になってたりすんだ。
ははっ、おじちゃんのシチューには模った星の外枠が入ってたっけ。
おばちゃん曰く、それはハズレらしい。俺のにも幾つか入ってたことがあるし」
「へえ、ケイのお母さんって愉しい人だね」
「むっちゃオモレェよ。さすがはケイの母ちゃんってカンジでノリも良いし。
おじちゃんや浩介もオモレェし、俺、ケイの家族好きだな。
すっげぇ良くしてくれるんだ。フツーに家族ぐるみで付き合ってくれるっつーの? 俺が遊びに行くだけでも、『え。今日は泊まらないの?』とか言われるし」
ははっ、そうなんだよな。
ウチの母さん、すぐ早とちりしてヨウの分まで夕飯こしらえてるんだ。
遊びに来ただけだって言ってるのに、「え。嘘」泊まらないの? じゃあせめて食べていかない? ってヨウを引きとめるのがお馴染のパターンなんだよな。
ヨウも人が好いから食べていってくれるし。
これはよく泊まりに来てくれる利二やシズにも同じ事が言える。
「あーあ、いいよなぁ」
俺もあんなノリの良い親が欲しかったぜ。ケイの家に居候しているシズが羨ましい、ヨウは自分の家と大違いだと嘆いた。
シズが俺の家に身を置いていることは、皆、知っている。
近々一人暮らしすることも知っているけど、それ以上のことは皆知らないし、追究することもない。
薄々何があったかは気付いているみたいだけどな。
「シズも弁当か?」ヨウの疑問に、「そうだよ」母さんが作っていたと返答。
今頃、俺と同じメニューを食しているに違いない。
シズ嬉しそうだったな、「コンビニは飽きるから」だから弁当は嬉しいって笑顔を零していたし。
ちょっとずつ元気を取り戻しているシズに俺も嬉しくなる。
早く食欲旺盛なシズを拝みたいな。
マジマジと弁当を眺めてくる弥生は、「本当にまめだね」と感心。
私じゃ無理かも、とテーブル上に頬杖をついた。
「お弁当って早起きして作らないといけないから。私じゃ無理だな…、時間ギリギリまで寝ちゃうし。タコさんウインナーとかメンドクサイとか思っちゃうし」
「あひゃひゃん。そんなこと言っちゃヤーよ。ハジメちゃーんが密かに期待しているんだから!」
「ゲッ。なに言ってくれちゃうの、ワタル」
ワタルさんに揶揄という名の辻斬りをされたハジメは思い切り顔を渋らせる。
あんまこの手のからかいには慣れていないんだよな、ハジメ。俺もそうだけど。
だけど悪いワタルさんは好んで人を弄くってくる。
「実は期待してるんでしょ?」脇腹を小突くワタルさんに、「べ。べつに」ハジメは素っ気無くお茶をがぶ飲み。ははっ、動揺してらぁ。
弥生はといえば、お弁当はちょっとねぇっと溜息。
どうしても早起きが無理らしい。