青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「あっれーん? なあんで、モトちゃーん。ヤマトちゃーんチームを連れて来ているわけ?
しっかもアキラじゃんかー!
呼ばれてもないのにジャジャジャジャーンなんてケーワイ!」
「おっひょひょひょ! ワシは客人じゃぞい。茶くらい出さんか!
そーれにしても散らかった部屋じゃのう。シズはかたぢゅけできない子?」
「…、何故…こいつ等がいるんだ…モト。
山田はともかく、アキラまでっ…、何が悲しくて部屋に上がらせないといけないんだ」
「ごめんシズ。でもオレが頼んだんだ。大目に見てやってくださいです。な?」
モトの案内の下、シズの部屋に入ったケンとアキラは荒川チームに招かざる客として歓迎された。
リビングに入った途端。アキラとワタルがウザ口調で張り合い、ニコニコと笑いながら火花を散らすのだ。
中学時代にチームを組んでいたシズもあまり良い顔はしない。
同じ立ち位置にいるモトも気持ちは分かると苦笑いはするが、どうしても彼等、というか彼が必要だったのだとシズに両手を合わせた。
溜息をつくシズは「ヨウがいないのが幸いだったな」と苦虫を噛み潰すような面持ちを作る。
一方、迷うことなく窓際に備えてあるベッドに歩んだケンは両膝を折って顔を歪めた。
脇目に怪我人の彼女や舎弟が見受けられるが、今のケンにはどうでもいいことだ。
「圭太。お前っ…、なんでこんなズタボロなんだよっ。ツラ最悪だぞ」
ベッドの縁を握り、どうしてすぐ自分に連絡をしなかったのだと怪我人を責め立てる。
言ったじゃないか、何かあったら必ず助けに行くってっ。
チームがお前を見捨てても、おれはお前を見捨てないって。
お前はおれを助けてくれたのに、どうしてお前はおれに助けさせてくれないんだよ。
おかしいじゃないか。
フェアじゃない。
公平じゃない。
ひとこと助けてくれと頼ってくれたら、形振り構わず飛んできてやったのに! 飛んできてやったのにっ。
「阿呆っ、圭太の阿呆。
おれがお前にしてやれることってっ、こんなちっぽけなことか? ジョーダン抜かせ! 三分も掛からないじゃないか!」
左腕を毛布から引き摺り出し、頼まれ事に目を向ける。