青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
―――…さてと動くか。
さっさとアイスを平らげ、空になったカップとスプーンをゴミ箱に捨てた俺はココロの手を引いて歩く。
「ちょっと田山! 最初から最後までシカトしてるんじゃないわよ!」
背後からギャンギャン喚き声が聞こえたけど、構っている暇はない。
俺達は忙しい身分なんだから。
しっかりと彼女と手を結び、一旦駅構内に入ると駅南口を目指した。
「ココロ。俺達が移動していることをTLで流してくれ」
「はい。すぐに」
片手で携帯を操作するココロは、ツイッターに書き込みを始める。
そう、これはデートでありながらデートじゃない。
荒川チームなりのストーキングだ。
各自ペアもしくは三人組になって、矢島が出没しそうなエリアに潜伏している。
あらかじめタコ沢が矢島の出現率が高い場所を洗ってくれていたから、エリアの割り当てはスムーズにいった。
けれどこれだけじゃ矢島を見逃す可能性がある。
だからさり気なく矢島を付回しているペアがいる。
それがリーダー組だ。
今頃、バイクで移動しているんじゃないか。
矢島を見つけ次第、ツイートするなんて地味な作業ではあるけど、これから三日間に渡って行われる出没情報収集にはこれが欠かせない。
里見達の性格を考えると、矢島を通して動く場合が多いようだから、こうしてメンバーを分散させた方が向こうの仕事もやり辛くなると思ったんだ。
一方で力を分散させてしまうという高いリスクはあるけれど、一日二日くらいどうってことないだろう。
「あ。ケイさん。ヨウさんからです」
俺は足を動かしたままココロの携帯を覗き込む。
>>@yoXXX● ヨウ
矢島が南口エリアに入った。確認頼む。
(一分前)
リョーカイ。
俺達は早足で南口に赴く。