青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
拒絶反応が出てしまうほどの馴染みある声に俺は顔を引き攣らせ、広場側に視線を流す。
おーっとそこには駅構内に赴こうとしている二人の女子高生が。
片割れが立ち止まって俺を指差しているんだけど、奴は…、うっげぇええ、出たな毒舌の波子! お前はお呼びでねぇよ!
「マジで彼女いたの?」
ヘボ山ごときに彼女とかありえないんだけど、とかなんとかほざかれるけど俺は何も見なかったことにしてココロとアイスクリームを堪能する。
どーしておデートまでお前に会わないといけないんだよ。
俺は関わらないからな!
「うっざー!」
シカトする俺に怒号を上げるキャツだけど、俺だってお前に言いたい。
うっぜぇええ! ってな。
なーんでそこまで俺を毛嫌いするのかは存じ上げませんが?
俺は今、とつても忙しいの。
シッシ、あっちへお行き!
あからさま不機嫌になりながらスプーンでアイスを掬い取る。
んでもってそのまま口元に運ぼうとしたら、別のスプーンが横切って俺の口に。
ストロベリーを掬った筈なのに、口内に広がるのは酸味溢れたレモン味。
視線を流せば悪戯っぽくはにかむ彼女がそこにはいた。
「機嫌直りましたか?」
とか可愛いこと言われちゃ、俺もテレのデッレーするよ! どうして俺の彼女ってこんなにも可愛いんでっしゃろう。
天使なんて言葉じゃ足りないぞ。
「直った」頬を崩す俺にココロが照れ照れっと笑い、溶け始めているストロベリーアイスを掬ってパクリ。
一方で彼女は空いた手で携帯を取り出し、親指を十字キーにのせて操作する。
「ケイさん」
携帯を差し出されたために、俺は画面を覗き込む。
>>@kyoXXXXX キョウコ
うち等の担当エリアを抜けて、駅南口に向かっているみたいだぜ。
(五分前)