青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―



!!!
 


うんぬん考えていた矢先、背後から勢いよく飛びつかれた。


「アイッデー!」


完治していない体が絶叫し、俺自身も悲鳴を上げる。悶絶しつつ俺は首を捻った。

背に乗っかっているのは…、やっぱりお前か舎弟くんよ。

ニッと笑ってくるキヨタに軽く拳骨を入れて、「キヨタ。手加減しろよ」お叱りを飛ばす。


まったく反省していないキヨタは地図帳を見ていたんッスか? 地形のお勉強っスか? なら俺っちも勉強するっス! まぜてまぜて! と、きらきら視線でアツーく主張してくるという…。


はぁああ、ほんっとこのわんこ不良くん…、どうしてくれようかねぇ。こんなにも俺を尊敬してくれてからに。
 


「キヨタ。毎度まいど厭きないよな。」



嫌味を飛ばしてきたのはモト。

肩を竦めているモトは、「尊敬しているのは分かるけど」もう少し大人になれって、と偉そうなことをのたまった。


お前がそれを言えるのか、ツッコむ前にヨウと弥生ペアが戻って来てモトはBダッシュ。


「ヨウさーん!」


きらっきらした笑顔を作り手を振って走り出す姿に、それがお前なりの大人なのかって今度こそツッコんだ。

お前も人のこと言えねぇって。
 
キヨタも同じことを思ったみたいだけど、すぐに興味は地図帳へ。

俺に体重を乗せて沢山の丸印が付いている地図帳を覗き込んでいるキヨタは、「これは?」と積極的に質問してくる。

後継者として少しでも土地勘を養いたいってのがキヨタの心情なんだろう。

だから俺は答えてやる。


「これはなキヨタ。近所にあるラーメン屋の数なんだ。
これからお前は此処に載っているラーメン屋を全部憶えないといけないんだ。俺の舎弟として!」


「うぇええ?! マジッスか! ……って騙されるわけないでしょー!」

「バレたか! 実はこれはラーメン屋じゃなくて蕎麦屋の数なんだよ!」

「ほっらやっぱりそう…、納得しませんから! ッ、ギャーッ、ケイさんっ! ギブギブッス!」
 

背に乗っている舎弟を肩まで引き上げて、俺はよっこらっせっと腰を上げる。

落ちる落ちると連呼するキヨタに、「大丈夫だって」兄貴を信じなさいと舎弟に一笑するものの、信用は置かれていないらしい。

病み上がりでしょ! 完治してないんでしょ! 力尽きて落とすでしょ! なーんて言われる始末。
 
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