青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「ってことは里見の、正当な仲間は全員“不良嫌い”なんだろうな。何かしら不良に私怨を抱いている。
でないと、こんなまどろっこしいやり口はしねぇよ。
あいつ等は不良を完膚無きところまで叩き潰すって感じだしな。
矢島って奴も正当な仲間なら不良嫌いだって念頭に入れておく必要があっかもな」
不良嫌い…、矢島が。
驚きはしない。
だって倉庫に閉じ込められた際、ヨウ達と聞いちまったから。
不良に嫌悪感を抱く矢島の心情を。
けどあいつ、身なりは不良だよな。舎弟も作っているし。
……あれはカモフラージュってことか? 俺達にすんなり近付けるように。
不良なら荒川チームと接する機会も増えるだろうしな。
良識ある生徒なら安易に不良達と関わろうとはしない。
俺達自身もなんで近付いてきたんだって疑念を抱くだろう。
だったら、この仮説は納得いく。
思案に耽っていると、
「もし矢島が舎弟に何かさせているなら」
舎弟の存在は厄介だな、響子さんが意味深に言葉を零す。
視線を彼女に留めると、響子さんはあんたなら分かるだろ、と苦笑を顔に貼り付けた。
「あんたにはキヨタがいる。だから分かると思うんだ。
尊敬されている身分ってのが。話を聞く限り、矢島は舎弟二人に多大な尊敬心を向けられている。
利用しやすいよな、そういう奴って。
舎弟は舎兄の願いのためならどんなことだって奔走するだろうさ。仮に矢島が本当に不良嫌いなら、哀れなもんだぜ。その舎弟達」
そうだな、本当にあの二人は矢島を尊敬していたし。
一方の矢島は二人を利用すると断言していた。
不良の舎兄なんて、早く終わればいいのに、そう吐き捨てていた吐露を耳にしてしまった。
本心を知ったらあの二人、めちゃめちゃ傷付くよな。
俺も同情が拭いきれない。
「ま、真実を知らない限りあの二人は矢島のために動くだろうさ。逆に真実を知れば、矢島の動きを止められるかもしねれぇけど」
んなことできるわけねーでしょうよ。
さすがに人の心を傷つけるような真似はしたくないぞ。尊敬されている身分だからこそ、俺にはそんな真似できない。
きっとそれはヨウにだって同じことが「ケイっさぁあん!」