青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「貴方の言いたいことは分かるッス。
だけどやっぱ賛成は出来ないッスよ。
オトリがどれだけ危険な行為か分かってるでしょう? 兄貴が本調子そのものなら俺っちだって反対はしません。
でもケイさんは怪我を負っている。ただの怪我じゃないんッスよ。
第一その役割、本当にケイさんじゃないといけないんッスか? 俺っちだっていいと思うッス。パッと見地味くんに見えますよ」
「矢島は俺等の顔を割っているんだぞ。俺とテメェで行動したところで、あいつを行動させられるかどうか分からねぇ。
さっきも言ったがあいつは俺達舎兄弟に一目置いている。いっちゃんいいのは俺とケイなんだ」
「ちっとも分からねぇッスよ。
どうしてそこまでケイさんを使おうとしているのか、俺っちにはヨウさんの考えが理解できないッス。余計怪我を悪化させたいんッスか」
「誰もそこまで言ってねぇだろうが。極力気遣うつもりではいるんだ。俺だって無茶はさせたくねぇんだよ」
大変である。
一致団結しないといけないチームの空気が怪しい方向に流れてきた。
逸早く場の空気を読んだハジメが手を叩いてストップを掛ける。
彼はキヨタに座るよう指示し、双方少し落ち着くよう促す。
ぶう垂れているキヨタは「リーダーの案は俺っちとココロさん泣かせッス」べたんと地面に座り込み胡坐を掻いてそっぽ向いた。
こっそりココロがこくりと頷いて同調している姿が視界端に映り、俺は苦笑いを零す。
愛されてるねぇ俺も。
「私もケイが無茶するの良くないと思うんだけどな。キヨタの言うとおり、ケイじゃなくてもいい気がするんだ」
弥生が俺をチラ見してくる。
そりゃあ俺だってできることならまだ休暇が欲しいところだけど。
「ヨウさんだってそれは分かってるじゃん。でもヨウさんだってチームを思っての決断だろ? オレはヨウさんの意見に賛成するけど」
モトが反論した。
決してリーダーもチームメートを酷使しようとしているわけじゃない、と肩を持っている。
「あらら弱ったね」
意見がこうもぱっくり分かれるなんて。
ハジメは能天気に笑い、他の頭脳派に意見を求めた。
するとどうだい。
シズもワタルさんも響子さんもケイ次第とかほざきやがりましたよ。
俺に選択権を下さりましたよ。
困るんだけど、そういうの!
なにそれ、どっちを選んでも怒られるのは俺じゃんか!
頬を掻いて目を泳がせる。
ヨウの意見を取るべきか、キヨタの意見を取るべきか、はてさてどうしたものか。
必ず念頭に置いておくべきことは俺が負傷しているカラダだってことだ。
普段でさえ喧嘩の場面になると足手纏いになる俺だ。
手腕がないプラス、今回はカラダがアイタタだろ? こんなんでオトリが務まるもんかねぇ。
寧ろ計画をパァにさせそう。
それに。
(矢島と接触するということは、里見達と接触する可能性が大きいということ。今の俺にあいつ等を見て動じない自信はない)
実際、あいつ等を見て取り乱す自分がいた。
それだけ恐怖心を植えつけられている。
簡単に乗り越えられる問題じゃない。