一途に IYOU〜背伸びのキス〜
ふたつのシルシ



「そんないい男なの?」


朝のHR前の教室。
始業にはまだ20分あるから、登校してる生徒はまだ半分くらい。

前の席に座ってるみっちゃんの言葉に、顔をしかめた。


「まぁ……見た目はいいと思う。
ストイック、とはまた違うかなぁ……。
短髪でキリっとしてて、ああ、空手とかやってそうなイメージ」
「へー。今度見に行こうかなー」
「あ、料理教室の前通れば見えると思うよ。
窓大きいし。ブラインドはあるけど、覗こうとすれば覗けると思う」
「ふーん」
「でも、先生に見つかったら怒鳴られそうだけど」
「先生って、一匹狼タイプ?」


みっちゃんとあたしの会話に割り込んできたのは、櫻井。
先週の席替えで隣の席になった櫻井には、今の会話の内容は筒抜けだったらしい。

こんな距離だから当たり前だけど。


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