一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「あ、そんな感じ! まさにそうかも。
飄々としてるし、会社とかプライベートでも信頼できる人とかいなそうなイメージ」


説明すると、櫻井は少し考えた後、難しい顔をした。


「その先生って、咲良の事好きなんじゃねーの?」
「……なんで? ありえないと思うけど」
「なんでそう思うの?」


みっちゃんが聞くと、櫻井が頭をかきながら答える。


「俺もそんな感じだったから。
俺、中学の春休みに彼女に振られたんだよ。
しかも、理由は二股かけられて、相手の男の方がいいからって言われて。
だから、高校1年の最初の方は、だいぶすれてた」
「あー、そういえばそうだったよね。
ツンツンしてたから、評判悪かったもん」
「だろ? だから周りがみんな俺を遠ざけてた。
けど、咲良だけは違って、平気で俺に話しかけてきたんだよ。
みんなから嫌われるような態度とってたのは、自分でも分かってたのに……。
咲良は平気な顔して話しかけてきた」
「……多分咲良は、櫻井の機嫌がどうとか関係なかったんだろうね。
葉山さん以外、基本どうでもいい感じだし」


< 264 / 342 >

この作品をシェア

pagetop