一途に IYOU〜背伸びのキス〜


同じように繰り返して、ふふっと笑っていると、腰に回った手に抱き寄せられる。
促されるように椋ちゃんと唇を合わせて、意地悪に「……もっと?」なんて聞く椋ちゃんに、頷かずに唇を押し付ける。

答えなんて分かりきってるくせに、わざわざ聞くなんて意地悪だ。

ああでももしかしたらあたしにわざわざ言わせたいのかな……。
だとしたら椋ちゃんもちょっとSっ気があるのかもしれないなと考えておかしくなる。

可愛いSだなぁと思って。


「……ふ、ぁ…」


咥内を撫でる舌に翻弄されて声がもれる。
いつもとは違って狭い空間に聞こえる声が柄にもなく恥ずかしくなって。
耐え切れずに椋ちゃんの胸を押した。

誘っておきながら今さらだけど。車内はダメだ。
椋ちゃんの香りが凝縮された空間はドキドキしすぎてどうにかなりそう。


「……咲良?」
「あの、ちょっともう限界かも……。
椋ちゃんが濃すぎる」



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