一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「椋ちゃん、先生に自分がケンカを売るってっ事は、会社が先生にそうするのと一緒だって言ってた。
だから、どんな事でも我慢するしかないって。
会社がせっかく掴んだチャンスを、自分のせいでダメにするわけにはいかないから」


椋ちゃんはそう言って、何度もあたしに謝った。
情けない男でごめん。守ってやれなくてごめん。怒ってやれなくてごめんって。
何度も何度も。

全然気にしてないって言うあたしの言葉なんか聞かずに、何度も……。
ツラそうに顔を歪めて謝ってくれた。

椋ちゃんがそんな事する必要なんてどこにもないのに。


「椋ちゃん、あたしに謝ってた。ツラそうな顔して……。
あたしは会社のために自分を抑える椋ちゃんを誇りに思うし……あんな風に椋ちゃんを苦しめる先生は許せない」


じっと見つめていると、先生はそんなあたしにため息をついた後、だから何?と聞いた。

ずっと考えてた。
どうするのが一番いいのか。




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