一途に IYOU〜背伸びのキス〜


 ***

朝の気持ちがいい空気の中、朝日を横から浴びながら椋ちゃんちに走る。
そしてそーっと鍵を開けて中に忍び込んだ。

ママの焼き上げたクロワッサンの入った袋をダイニングテーブルに置いてから、そっと寝室のドアを開ける。

遮光性の少ないカーテンから溢れる光の中、椋ちゃんはまだベッドの中で。

そんな光景ににんまりしながらベッドに近づいて膝をつく。
そして、無防備な顔して寝ている椋ちゃんに近づいて……キスしようとしたところで、ぐっと抱き締められた。


「起きてたの……?」
「咲良が玄関の鍵開けた時からな」
「なんだー。せっかく寝込み襲えると思ったのに」


不貞腐れて言うと、椋ちゃんに笑われる。



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