一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「……いや、今戻ってきたところ」
「そうですか。お疲れ様です。
……この子、葉山さんのお知り合いですか?」


女の人の視線があたしに止まる。
会話の内容からして、どうやら同じ会社の人らしい。

穏やかな風が、パーマのかかった髪を揺らす。


いいな、揺る巻きとか。
大人の女の象徴って感じが……あ。


――これ、あの時の……?



感じ取った香りが、あたしに数日前の事を思い出させる。
椋ちゃんの誕生日、椋ちゃんのYシャツからした香り……?








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