ONLOOKER


耳に入る話題は全て、このあまりに有名な生徒会の話ばかりだ。
在校生がセレブならば新しく入ってくる生徒もそんな人物ばかり、有名人なんかとうに見飽きたという生徒も中にはいる。
だが、そんな生徒でさえも、彼ら五人への憧憬は、他と変わらなかった。
悠綺中等部から持ち上がりの生徒でさえ、一年ぶりに見る夏生や聖の姿に、ぼんやりと見入っている。

アイドルの性なのか、聖は愛想良く微笑んでみたり、小さく手を振ってみたりしていた。
夏生は、「そっちこそ」と言いたげな非難の目を向ける。

彼らの一挙手一投足にいちいち上がる、悲鳴にも似た小さな歓声。
それを立ち上がった准乃介が笑顔で黙らせて、口を開く。


「これで入学式を終わります。この後は、在校生によるパフォーマンスをお楽しみください」


准乃介の手振りで、一度閉じた幕に注目が集まる。
ホールの照明が切り替えられ、少し暗くなった。

一番手は、吹奏楽部によるマーチングメドレーだ。
ドラムの音が沸き上がるように響き、勢い良く幕が開くと、再び大きな歓声が上がったのだった。

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