異常の兄弟


果は数秒そのまま止まった後
軽く首をかしげ「忙しい人」と呟いた。

さて、今度こそ出ようと思えば
視界の端に何か入った。確かめるようにそれに焦点を合わせる。

「箱…」
丁度 果の手に収まるサイズの
長方体の白い箱。

試しに開けてみようかと考えるが厄介な事が起こると面倒だ。巡も同じことを言うだろう。

そこでふと、気付く。

これもさっきの人の持ち物では、と。
そこまで思ってしまうとつい箱を手に取ってしまった。


魔が刺した


そう言うのが正しい。
さっきの女性ならまだ近くにいるだろうなど。
どうせなら届けに行ってやろうなど。

普段なら絶対にそんな事はしないのに。
僅かにくすぶる良心で果は「厄介事」に首を突っ込んだのだ。

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