異常の兄弟
やっとビルから通りに足を踏み出す。
暗い所に長時間いたので昼過ぎの太陽は目に染みた。
左 右と確認すれば、右に真っ直ぐ行った所にある大通りに先ほどの女の背中が見えた。
「ああ、いた。」
ぽつり と呟いた言葉は後方から鳴ったエンジン音に掻き消される。
振り向いてそちらを見れば
見て取れる苛立ちの表情をした巡が愛用のバイクにまたがっている。
「おせーぞ。何してたんだ。」
弟の問いかけには答えず果は巡の直ぐ後ろに座った。女はタクシーに乗り込んでいる。