異常の兄弟


砂埃さえ巻き上げ路地裏から姿を表したバイクは、車が行き交う道路にギラリと視線を向ける。

兄弟を乗せたそれはまるで暴走しているかのように荒々しく走り出した。危なっかしくも他の車両をかわしてその間間に身をくぐらせて行く。


「大体なんだって追いかけなきゃいけねえんだ!」

「なに?」

「なんで追いかけてんだよ!!」

通り越した車達のクラクションにかき消されないように巡は大声をあげる。


「…僕が言ったから?」

「そういう事言ってんじゃないんだよ!!」

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