異常の兄弟



車内の後部座席では女が死にそうな顔で此方を見ている。

金魚のように口をパクパクさせ、どうやら驚きで腰を抜かしているらしい。

運転手も隣についたバイクを見てギョッとしていた。


果は、「窓」と口パクをしガラスを指差して開けてもらうよう頼むがなかなか理解されない。
それどころか女は運転手に何か言い、車は更にスピードを上げ始める。


厄介な方向に転がって行く事態に巡はいよいよ車体に突撃しそうなほどに苛立ってきた。

「どーすんだよ!」
先ほど同じ、しかし怒気を含んだ言葉に明確な返事は返って来ず、「これ返したいだけなのになあ。」と呟いた声がやって来ただけだった。


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