文系男子のその後。

「それで、だな。ある程度円滑に進んでたんだが、ある時村西に金が流れてる、って噂を聞いてなあ」

村西組は、此処、岡田組と恐らく最も仲が悪い組である。
任侠らしく筋を通す岡田と違って、村西はーーーアメリカのギャングに似ている。殺しや強奪、やるだけやって、そこには統制も何も無い。


「……まさか」


「優人さん、村西にいる幼馴染に幾らかやってたみたいでな」


自分のシマのーーーこの場合は茜のシマの金を少しだけ。


「でも、そんな事したら」


「あの人は、どう間違ったって、極道なんか入るべきじゃ無かった」


心の優しさに漬け込まれ、金欠の幼馴染に、半年も送ってたんだ。
その幼馴染、その貰った金をどうしてたと思う

「………」

首が重くなった気がする。

どうして血も繋がってない父親の話を聞かなければならないのか。
どうしてこいつはそんな話をわざわざ俺にするのか。


どうして俺は、こんなに胸が痛いのか。


「村西で昇進したいが為に、上に金を献上してやがった」

胴間声が、腹に響いた。


「皆、その事を知ってた。優人さんは、悪くない。騙されてたって、皆…分かってた」


けど、組織の金に手をつけたら、どうなるか。


「……それも、皆知ってたんでしょ」


「…………ああ」


その先を聞きたくなかった。
死んで、何年も経った今、知ったところでどうにもならないから。

< 11 / 17 >

この作品をシェア

pagetop